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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第3章 養子騒動編


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翔吾「恋太郎ぉお〜〜!!!/////」

恋太郎「とぉたま♪」

翔吾「おぅおぅおぅ……ぶ、無事で…無事で良かったよぅっ!!!(号泣)」

にの江「……なんだぃもう……一々大袈裟な男だねぇ(苦笑)」



あたしは我が子をしっかと胸に抱いて涙に咽ぶ翔吾さんを見て、また苦笑いをした



翔吾「大袈裟なもんですかね!大事な大事な跡取り息子の姿が見えなくなったら、そりゃあ心配するに決まってるでしょうにっ!!

……って、恋太郎、母様はどこだぃ?」



翔吾さんはぐしゅぐしゅと鼻をすすりながらそう言うと

キョロキョロと屋敷の中を見回した



恋太郎「かぁたま、なぁい、ない!」

翔吾「へ?…………居ないのかぃ?」

にの江「ちょぃと野暮用でね」



あたしは涙(と鼻水)まみれの翔吾さんに手拭いを差し出しながら言った



にの江「実家のお屋敷に行ってるのさ」

翔吾「実家のって……お大名のトコですか?

なら、あたしがちょぃと薬を届けに行くついでにお迎えに…」

雅吉「そらぁ止した方が良いなぁ」



翔吾さんが言いながら腰を上げると、それを雅吉が片手で制した



翔吾「はぁ?何故で御座います?雅吉兄さん」

雅吉「お智ちゃんは、姫さんとしての野暮用でお屋敷に行ってんだょ

だから、嫁を迎えに来ましたってぇ言ったところで、来ちゃいねぇと門前払いを食らうのが関の山だぜぃ」

翔吾「しかし、そうは申されましても、あたしゃお智ちゃんが傍に居てくれないと、どうにも落ち着かな…」
大倉「そうですよ!」



翔吾さんが話している途中で、何やら難しい顔をして黙り込んでいた大倉さんが

急に大声を張り上げて立ち上がった



大倉「やっぱり心配ですっ!!早くお智さんを悪漢の手から救って差し上げないと!!」

翔吾「Σ悪漢んんッ!!?」


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