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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第3章 養子騒動編


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にの江「!!!」

「女将、怪我をしたくなかったら、大人しく御子を渡せ」

恋太郎「…ふぇっ……ふえぇっ……ひゃああん////」

にの江「恋太郎ちゃん!」



あたしに刀を向けた、鬼気迫るドスの利いたお侍の声に

恋太郎ちゃんが怖がって泣き出してしまって


あたしは、慌てて恋太郎ちゃんをまた抱っこした



「今だ!!」

にの江「何をするんだいッ!お離しッ!!(怒)」

「Σいってぇッ!!(汗)」



あたしが恋太郎ちゃんを正面に抱きかかえたのを見て、お侍の1人があたしの腕から恋太郎ちゃんを奪いにかかる

あたしはそのお侍の足を思い切り踏んでから蹴飛ばすと

そのまま居間に駆け上がった



「逃がすなッ!!」

「ちょっと待ちな、お侍さんたちよ」



お侍たちがあたしを追って居間へ上がろうとした時

それを制する声がした



にの江「雅吉!!///」

「何と!?」

「ま、雅吉だと!?(汗)」



あたしが、良いとこで帰ってきた亭主の名を呼ぶと

お侍たちがざわついた



雅吉「なんだ、あんたら俺の名を知ってやがるのかぃ?」



雅吉は、何処から持って来やがったんだか手に竹刀を持っていて

その枝の所で、ゴリゴリと頭を掻きながら玄関を潜ると


ざわめき立つお侍たちを見回した



「し、知っているも何も、貴様はあの人斬り雅之進であろう!!」

雅吉「…だからよぅ、俺ぁ、人を斬った事なんざ、一回もなぃっつうんだよなぁ

…全く」



雅吉がウンザリしたような顔でそう呟くと

お侍の頭らしき男が叫んだ



「ええぃ、怯むな!!人斬りだろうが何だろうが、奴の得物はたかが竹刀だっ!!

皆の者、かかれ、かかれぃっ!!(汗)」



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