• テキストサイズ

蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第3章 養子騒動編








旅は道連れ、世は情け


この世は大平、花より団子





そんな此処は、華のお江戸の八百八町


義理と人情が大好きな、粋で鯔背なスットコドッコイが集う町








皆様、お久しゅう


またまたご無沙汰しておりました


にの江で御座います





あの、仇討ち騒動があってから、かれこれ二年が過ぎましたが


そんな長い間ご無沙汰している内にねぇ


お智ちゃんと翔吾さんの間に、そりゃあ珠の様な可愛らしいやや子が産まれましてねぇ





名を、「恋太郎」と申しまして


今はもう、齢も一つを数えまして、片言を話したりなんかして


そりゃあ可愛い盛りで御座いますよ





何せ、翔吾さんなんざ


可愛い嫁にそっくりな恋太郎ちゃんを、そりゃあ溺愛してましてねぇ



「眼の中どころか、鼻の穴に突っ込んだってこれっぽっちも痛かなぃよ!!」



なんて


恋太郎ちゃんの可愛いお手てで、鼻の穴を引っ張られながら


涙を流して嬉しそうに言っている始末で御座いますから(笑)





え?


あたしと雅吉かい?





まあ、あたしらは相も変わらずと言った感じさねぇ


ああ、勿論


2人とも


恋太郎ちゃんを、我が子みたいに可愛がっておりますよ







…そう


あたしには、一生持てないだろう


我が子みたいに、ね…





/ 286ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp