第233章 悟の憂鬱
「これは…」
おそらく悟さんの戸籍謄本でしょう。
そこの妻の欄には香織さんの名前ではなく
私の名前が記されています。
香織
「元の貴女が死んだ時に死別とされていたけれど
貴女が再び復活したことで
どんな手を使ったのか分からないけれど
籍を復活させたみたいなの。
だから貴女は五条家に戻る権利がある…」
香織さんは寂しそうにそう言いました。
「待ってください!
そんなのおかしいですよ
私は叶さんの籍に入っているはずです!」
香織
「入っていないわよ。
加えて言えば祐太くんも
悟さんの次男のまま…
あの男と悟さんの間で
もしかしたら何か確約的なものが結ばれて
一時的にあの男の"嫁"になっているだけかもね
憶測でしかないけれど。」
香織さんは窓から外の雪景色を眺めながら
そう言いました。
「…分かりません……
そんなこと急に言われたって…
それに私が五条家に……
そうなったら香織さんは……」
香織
「だから私は悟さんにとってなんでもないのよ
嫁としても女としても
悟さんが興味があるのは貴女だけ…
お母様がそんな私を不憫だと何年も五条家の性を
名乗らせてくださっていたけど…
もう疲れたわ…
私、まだ32だし新しい人生を歩もうと思うの。」
香織さんは目を真っ赤にしながら
口元に笑みを浮かべて言いました。
「………」