第209章 さとるとかおり
「これで五条家は安泰だ。
よくやったぞ玉乃。」
新品の畳の香りが漂う六畳間の中央に
絹織りの布団が敷かれ
その上に悟の母"玉乃"と
3日前に産まれたばかりの悟が横になっている。
そして言葉をかけているのは悟の父、美治である。
玉乃
「あなた。
この子と同じ日に産まれたという
二条家の次女を悟の妻にするというのは
本当でございますか?」
美治
「あぁ。
同日同時刻に産まれた赤子同士は
相性が良いと言うからな。
先程向こうから挨拶の文と
お祝いの品が届いたが、
"香織"という名に決まったそうだ。」
玉乃
「…悟るにはもっと相応しい相手がいるはず...
二条家の次女など認められませんわ。」
玉乃は二条家を嫌っている節があり
古い言い伝えを信じ
息子の嫁を自分に相談無しに決められた事に
はらわたが煮えくり返るような怒りを感じています。