第117章 特級の男、腹貸しの嫁 II
玉木
「………」
流れていく眩しい沖縄の景色を
おそらく無表情で眺めていると…
タクシー運転手
「お客さん、疲れてるみたいね。」
歳の頃は70前くらいのタクシー運転手が、
ルームミラー越しに私を見ながらそう言ってきました。
玉木
「…えぇ。少し…」
仕事中ではありますが、
今は周りに仕事に関する人が居ないという事もあり
私は素直に応えてしまいました。
タクシー運転手
「やはりそうですね。
良かったらまだ距離があるから、
私に話したら良いですよ。
お客さんの辛い気持ちは私が責任を持って
海に捨ててきますから。」
心地が良い運転手の声に、
私の疲労した心の言葉が次々と溢れてきました。