第117章 特級の男、腹貸しの嫁 II
医師
「今の状況を正直にお伝えしますと。
母子共に大変危険な状況です。
とくにさんは"危篤状態"で、
回復が見込めません。
助かる見込みがあるお子さまを優先したいのですが、
どうされますか?」
玉木
「………明日には状況が変わることは?」
医師
「絶望的ですね。
なにしろさんの
身体の何処が悪いのか特定できないんですから。
重要臓器にも何も問題はない、
良くない細菌に感染しているわけでもない、
ただ酷く衰弱をしている...
正直言いまして手の施しようがないんです。」
玉木
「そうですか…」
悟様に言われた事を、
私は医師に言わなくてはいけませんが
なかなか口にできません。
玉木
「あと数日…今の状態を維持できませんか?
お腹の子も、もう少しお腹で…」
医師
「できなくはないですが、
今出さなければ胎児の命の保証はできませんよ。」
玉木
「………」
私の勘が言っているのです。
様から胎児を切り離せば
様が直ぐに絶命してしまうと…
胎児は人間でもあるけれど
呪霊でもあるので
そんなに弱いとは考えられない。
だから優先せずとも大丈夫だと思うからです。