第104章 宿儺の娘 〜ⅱ〜
それからひと月過ぎた夜半に、
家にあの"青年"が訪れてきました。
"コンコンッ"
木戸を叩かく音に目を覚ましました。
(誰かしらこんな夜半に...)
親戚の老婆は、
今夜は若い呪術師の家に
肌を温めに行って留守にしているから、
家には私1人だけです。
寝巻きの上に羽織りを重ね、
木戸を開けました。
"ガタガタガタッ"
すると..
木戸の向こうに青年が立っていました。
お仕事後なのか、
黒い着物のあちらこちらに鮮血をつけていました。
梅
「こんな夜半に失礼な方...」
?
「どうしても梅に逢いたくなった。」
今夜は式神の犬が2頭、
青年の側にいます。
梅
「腹貸し家は遊女ではないわ。
勘違いしないで下さい。では...」
木戸に手をかけようとした時でした。
"パスッ"
梅
「!!」
その手を、
青年が掴みました。