• テキストサイズ

氷上のプリンスさま!

第1章 全日本ジュニア選手権









ズーッ…シャッ





トリプルフリップ!決まっ…


…ザッ



回転は綺麗に決まったと思うが、着地でバランスを崩し転倒。


最近フリップで転倒してなかったのに…。


細かい氷の粒が手にまとわりついた。



「さとみー怪我すんなよ」



リーグAのコーチが言った。



「はーい」




口だけコーチのほうに向けて返事をした。




まずいな…。


もう一回だけ飛んで、あとはストレッチして帰ろう。



もう誰もいないリンクを広く使い、ジャンプの体勢に入る。



(大丈夫。大丈夫。ぜったい飛べる。前までちゃんと飛べてたんだから でも……)





ズシャ…!




「…っって!」



さっきは回転は綺麗だったが、
今度は軸が最初からぶれていて、手をついて完全に転んでしまった。





ダメだ…



もう一回だけ。

…ズシャッ


ザッ



何回も、何回も飛んだ。

でも一回も綺麗にジャンプが決まったことはなかった。



「…っなんで!!」


リンクの氷を思いっきり叩いた。
手の側面に鈍痛が走った。




なんで、なんで?

なんで今日も完璧に決まってたのに!

明後日が勝負なのに、今さら私はなにしてんの?




一人リンクの上で座り込み、氷を手が痛くなるほど叩いた。










焦りと自分への怒りで押し潰されそうだった。


/ 20ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp