第1章 全日本ジュニア選手権
ショートプログラムではノーミスの演技で見事1位。
問題はフリーだ。
今日は軽くプログラムの確認のためにリンクに行くか…。
ースケートリンク練習場ー
「さっとみーー!1位おめでとう!」
「ありがとー!まぢ自分でもビックリ。」
真っ先にスケート靴を履いている私に駆け寄ってきたのは、同じリーグAクラスの
西ノ宮玲(にしのみや れい)。
同じ15歳でだが、今回のジュニア選手権は怪我で欠場。
おととしくらいから合宿とかで一緒になって、今では一番仲の良いスケート仲間だ。
「れいも来年はゼッタイ一緒にでよ!」
「もちろん、でも勝つのはあたしだから」
「はぁー?明後日のフリーみてやがれ!」
ベンチは笑いに包まれた。
「明後日はりきり過ぎて靴忘れたりすんなよー」
そう言ったのはジュニアスクールのコーチの一人、奥田浩明(おくだ ひろあき)さん。
30代後半らしいが、ダンディーな感じでかっこいい。
ソルト・レーク・シティの元オリンピック選手だ。
「さとみならやりそう!」
「うるさいしー!そんなばかじゃないですからぁ!」
私はむくれながられいを肩を叩いた。
「ほら、早く練習練習!」
、と奥田コーチが言った。