第4章 *File.4*降谷 零*(R18)
「ど、どうしよ!」
「あのな。ここまで来といて、テンパるな」
「無茶言わないで!」
「ったく、あのオッサンも何考えてんだ」
「それは私が一番思ってることだと思うけど」
先日、呼び出された上司の黒田管理官からの、突然の通達。
『来週の水曜日の11時に、此処へ行くように』
『はい?』
『なぁに、君に縁談話だよ』
『……ハァア??』
手渡された名刺と、上司の顔を嫌と言うほど見比べたのは言うまでもない。
『何か問題でも?』
『いえいえいえ。過去に管理官とこんな話したことありましたっけ?』
『一度もないな。では今現在、君には結婚願望はない、と?』
『ま、まあ、それはない。とは…』
『ならば、断る理由もなかろう?』
『……』
『それに、だ。何時までも、従兄達とつるむわけにはいくまい』
『!』
痛いトコ突いて来やがって、このクソオヤジが!
人のプライベートまで調べ上げてんじゃねーっつうの!
『ですが、年齢が年齢ですし、私なんかが相手では相手の方に失礼なのでは?』
『それは無い』
『…ない??』
『当日を楽しみにするといい』
『ハア?』
意味深に笑ったあの顔を思い出すだけで、腹が立つ。
ハッキリ言い切ったけど、一体どんなオトコと会わせるつもりよ!
言っておきますけどね、私は安くて軽くて簡単なオンナじゃないんだからね!
「29歳のジャジャ馬娘を、今更誰が嫁にもらってくれるっつうんだよ」
「余計なお世話です!ってか、アンタも嫁の一人や二人もらってから言いなさいよ!」
歳は一個しか変わらないでしょうが!
心配されなくても、私が一番そう思ってるわよ!
「い、痛えっ!」
「痛くしないと意味がないんですよ、陣平ちゃん?」
目の前のキレイな頬を、思いっきりつねってやった。
「…だからよ」
「ん?」
「せっかくキレイに着飾ってんだ。今日ぐらい少しはお淑やかにしとけって」
「…急に褒めたって、なんにもあげないよ?」
「バーカ。お前は俺の自慢の従妹だぜ?」
「それはちょー初耳〜」
普段は真逆の態度しか見せないくせに!
不意打ちで喜ばせて、イケメンなのが、またムカつく。
「どうせ関係者だろ?」
「でしょうねー」
「まさかとは思うが、相手は自分の息子、とか言うオチはねーよな?」
「まっさかー!」
確かにイケメンのイイ男ですよ?
FBIの赤井秀一サンは。
