第3章 *File.3*黒羽快斗*(R18)
「…だから?」
「ちゃんと返事をくんねーか?幼馴染としてじゃなく、俺を一人のオトコとして雪乃がどう思ってんのか、今聞かせて欲しいんだ」
「……私にとって快斗は…ただの、幼馴染」
「!!」
失恋決定っ?!
「って、思うようにしてた」
「そ、それは一体?」
マジで、動揺と緊張がおさまらねー!
「やっと此処に帰って来れたのに、ずっと片想いをしてた男の子は予想通りにもう一人の幼馴染とデキちゃってたから、入学初日に江古田に行ったことを心底後悔したわよ」
「……」
「帝丹を選べばよかったって」
「…あの名探偵がいるからかよ?」
「蘭ちゃんも園子ちゃんもいるじゃん」
「…で?」
「でもねー。きっと帝丹に行ったところで、私のこの気持ちは変わらなかっただろうなーって、ついこないだ、イヤというほど再確認させられたの」
「……で、結論は?」
「私の初恋は黒羽盗一。だけど、二番目に恋をしたのは黒羽快斗、貴方だけ。ホントに一体どうしてくれるの!」
「そこは一生責任取るから、心配ご無用…ハア。今心臓がバクバクして止まんねーんだけど」
「私だって…か、快斗?」
「…柔らかくていい匂い」
「だって…お風呂に入ったトコ、だし」
「!!」
照れたような、恥じらいをのせた可愛い声が胸元から聞こえて、心がゾクッと震えた。
「…快斗?」
この状況下で、それは禁句だろ?
引き剥がすかのように勢い良く腕を離すと、当の本人は俺を見上げてキョトンと首を傾げる。
可愛すぎるだろ!
「もう、我慢出来ねーよ」
幼い頃から溜め込んでいた想いが一気に溢れ出し、理性を抑えることが出来ない。
「えっ?」
きっと俺の今の心理状態なんか考えもしてないだろう雪乃の後頭部を支えると、そのまま唇を重ねた。
「やべぇ」
「な、に?」
「気持ち良すぎて止まんねー」
「ふぇ?」
生まれて初めてのキスは隣の家に住む、ずっと好きだった、小柄で可愛い同級生の幼馴染。
なのに、今は色気を放って、一人のオンナの顔で俺を見上げる。
まさかここまで化けるとは、思いにもよらなかった。
そもそもがオトコにとってオンナは、色んな意味でちょー怖え生き物だ。
でもその反面、何時だって何よりもオトコを魅了して止まないのもまた、オンナと言う生き物であることに間違いはない。