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酸化した世界で君と詠う

第16章 闇に咲く花魁


「早速で悪いけれど開戦までもう間がない、そして捕虜には大事な仕事が在るよね?マフィアの戦況、今後の作戦を教えて貰おうかな」

「マフィアの掟を忘れたかぇ、坊主?江戸雀は最初に死ぬ」

「姐さんの部下に拷問専門の班があったよね……でもその班でも口を割らない鉄腸漢が現れる事もあった、そんな時は私が助太刀したよね、私が聞いても口を閉ざした儘の捕虜が1人でも居たっけ?」

ドアの鍵を閉める太宰

「!?」

「此処からは大人の時間だね……姐さん、大人の取引をしよう、鏡花ちゃんを助ける計画がある」

「何?」

「一度彼女を逮捕させ、異能特務課と司法取引する」

(マジか……)

「逮捕じゃと」

「成功すれば探偵社にも入れる、彼女の命と夢を守る唯一の方法だ」

「不可能じゃ、闇に生まれた者は闇にしか生きられぬ」

「それは鏡花ちゃんではなく貴女の話でしょう、姐さん……姐さんが鏡花ちゃんと同じ歳の時、慕っていた年上の男性と共に組織から抜けようとした、けど首領に露見し男は殺された、それ以来貴女はマフィアを恨んでいる」

(姐さんにそんな過去が……)

「……」

「先代の頃の話だ今とは状況が違う、何より私が居る……鏡花ちゃんは同じにならない」

「……“外の輝く世界を見せてあげよう”とあの人は言った」

「見せてあげればいい、貴女が鏡花ちゃんに」


紅葉との長い話が終わった太宰は部屋を出て行く


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