第16章 闇に咲く花魁
「琴華、見ておるのじゃろう?出てきておくれ」
少し経った後に琴華は紅葉の前に出てくる
「えっと……盗み聞きみたいなことをしてごめんなさい」
「謝ることではない……それより琴華」
紅葉に手招きをされ、琴華は近づいた
すると紅葉は琴華を抱きしめた
「?」
「更に美しくなったのぅ」
「そう?それ太宰さんにも言われた」
「太宰め……」
紅葉は舌打ちをする
「あ、あの……姐さんは恨んでいないの?マフィアを裏切ったら私を」
「恨むはずが無かろう」
「安心した」
「あまり気にするでない、其方は……幸せかぇ?」
「幸せ……です、太宰さんが居るから」
「太宰……か、あの男はやめておけ」
「何で?」
「あの男は恐ろしいのじゃ、其方には似合わぬ」
「……私、太宰さんに好きって言われたとき、嬉しかった、だから姐さんが何と言おうとも私は太宰さんを愛す……ごめんなさい」
「変わったのぅ、琴華……太宰が消えてから其方は鏡花と同じような目をしておった」
「あはは、人間って変わるね」
その時、ドアが開いた
出てきたのは太宰
「琴華……」
太宰は琴華の腕を引っ張り、自分の体に寄せる
「どうしたの?」
「姐さんとの話が終わりそうだから迎えに来たのだよ」
「邪魔が入ったのぅ、では琴華……また会おう」
「あ、はい!」
太宰に連れて行かれる琴華
太宰と琴華が部屋を立ち去った後、紅葉はこう言った
「嫉妬深い男じゃのぅ」
紅葉はそう言い、袖を口に持っていき笑った