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酸化した世界で君と詠う

第5章 戻れない場所(黒の時代)


「取引は何時に終わったの?」

「夜の八時です、遊ぶ間もなくとんぼ返りですよ」

「随分と気弱だね、マフィアの凡てを識る男」

マフィア所属の情報員である安吾は、他組織と秘密をやりとりする情報の運び屋だ
どの幹部派閥にも属さず、首領の命令で取引の日程、他組織との同盟、時には内通や離反、裏切りの斡旋など、重要で機密性の高い情報を運ぶ
謂わば闇の密使

「ああ……仕事帰りに早速頭が痛い……」

「働き過ぎだ安吾」

「働き過ぎだね」

「2人と同じ意見」

「そのようです、どうも僕はここで無償残業をしているようだ」

「え、帰っちゃうの?」

「正直なところ……あなた方3人と飲んでいると、自分が黒社会で非合法な仕事にたずさわっている事を忘れそうになるのです」

安吾は自分の荷物を手に取って立ち上がる
太宰は安吾が写真機を持っていることに気づき



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