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酸化した世界で君と詠う

第32章 唯一の家族


「お前と太宰が付き合ったところで所詮、お前は太宰の遊び道具でしかないってこと」

「は?」

(何言っているのこいつ)

「つまり、美人との心中が夢なら恋人を作らないほうがいいでしょ?恋人を作ったところで心中の相手になるだけ」

(嗚呼……こいつが何を言いたいのか判った気がする)

「今のお前の価値は無いに等しい、例え現実世界に戻ったとしてもその程度の力では周りから絶望されるだろう」

哀れむように陽香が微笑む

「……そんなことはしない」

「ふふっ、そんなに強気になって……例えば太宰治、あいつはお前のこの無様な姿を見たらどう思う?きっと捨てられるでしょ」

「太宰さんはそんな人じゃない!!」

反論する琴華

「それはどうかしら?人間はころころと変わる生き物だからね、そんな期待は儚く散る」



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