第32章 唯一の家族
(あれ、確か私は飲み込まれて、死んだ筈……)
琴華は目を開ける
「え、私生きてる」
琴華が驚いていると目の前には陽香が現れる
「目覚めたようね」
「邪神……」
「生きているなんて驚きですね、だけどもうお前は死ぬ……私の手によってね」
「あんたに大人しく殺されない」
「へ〜、四神を殺されて力がないのに?」
煽るように琴華を見つめて言った
「っ……」
琴華は悔しそうに陽香を見た
「……」
(今の私は一般人と変わらない、懐刀でどうにかするしか……)
「哀れね、月詠琴華……お前が生まれて来なければこんな思いはしなくて済んだのに」
「慈悲をかけてるつもり?生憎私はあなたの慈悲なんて要らない」
「慈悲……ねぇ、確かに私は慈悲をかけているかもしれない、親に愛されず、邪神である私に殺される未来……」
「別に愛されなくても良い、私には私を愛してくれる人が居るから」
「そいつは本当にお前を愛しているの?少し調べたけど太宰だったっけ?そいつは美人との心中が夢なのに何故特定の女を作ったのか不思議ね」
「……何が言いたいの?」