第30章 月詠燈夜の最高で最悪な過去
「と……う……や……くん、だ……ざ……い……く、ん」
琴葉が目を開ける
「琴葉!」
「琴葉さん!!」
太宰と燈夜は琴葉の顔を覗き込む
「二人共……居ますか?」
「嗚呼」
「居ます」
「良かった……何故か記憶が戻ってきたんですよ」
「私……神だったんですね……えへへ」
琴葉は儚そうに笑った
「そうか……」
「凄いですね」
「伝えたいことがあるんです……」
「なんだ?」
「私……妊娠していました、燈夜君と初めて会ったあの時から」
「!?」
「……」
「ずっと人間だと思っていた……周りと同じだと考えていたから……私には子供が出来ない体質なのかなって不安でしたけど」
「ずっと妊娠していました、私の中には燈夜君と私の子が……居ます」
「琴葉……」
「良かった〜これで燈夜君を一人にしなくて済む」
「琴葉、何故お前は記憶が戻ったのに俺の事ばかり__」