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酸化した世界で君と詠う

第20章 宴


その頃、太宰は美術館らしき建物に居た

「変な絵だねぇ、このくらいなら私にも描けそうだ」

太宰の隣には広津柳浪が居た

「君は凡そ何でも熟すが……君が幹部執務室の壁に描いた自画像を覚えているのかね?」

「あぁ、首領の処のエリスちゃんが敵の呪い異能と勘違いして大騒ぎ」

そのことを思い出して太宰は笑った

「広津さん、例の件助かったよ」

「あの程度で善かったのかね?私は白鯨潜入作戦を樋口君に漏らしただけだが」

「彼女が知れば芥川君に伝わる、芥川君が知れば必ず乗り込んで来る……予想通りだ」

「そこまでして芥川君と虎の少年を引き合わせた理由は何かね?」

「確かめたかったからさ、芥川君は単独でも十分破壊的だけど本来は中・護衛で真価を発揮する異能者だ、敦君のように速度と根性骨を持つ前衛を補給してこそね」

「何時から此の状況を目指していた?」

「敦君と最初に会った時から………新しい世代の双黒が必要だ、間もなく来る“本当の災厄”に備える為にね、此処から先の展開は私にも見えない、けれど奴は既に動いている筈だ……あの琴葉さんでさえ予知できなかった……嘗て私が一度だけ会ったあの“魔人”は必ず___」


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