第1章 月島蛍 ずっと欲しかったもの
月島side
サッと木の影に隠れて先輩の小さな唇に顔を近付ける
『つ‥月島くんっ‥?』
「キス‥してもいいですか?」
白い肌が一気に赤く染まるのが分かった
『はっ‥はいっ!お願いしますっ』
「ふはっ‥お願いしますって‥相変わらずですね」
つい我慢できずに少し吹き出してしまう
屈んでどんどんと顔を近付けるとギュッと目を瞑る先輩
でも少し上を向いてくれて僕の口付けがくるのを待ってくれている
小さくて形の良い
ふっくらとしたピンクの唇
想いが通じ合えた日からずっとキスしたかった
でもずっとずっと我慢してきて‥やっと‥
間近に先輩の顔を見る
まつ毛なっが‥
緊張してるんだろうな‥可愛い
僕だって心臓の音が先輩にまで聞こえてしまうんじゃないかと思うくらいドキドキしている
ちゅ‥と小さな音を立てて唇が重なり合う
柔らかな唇が気持ち良くてつい2度‥3度と口付けを繰り返す
『っ‥はぁっ‥気持ち‥い‥けど他の人に見られちゃうっ‥』
口付けの合間に少し息の上がった様子で一生懸命訴えてくる
いつもの可愛い先輩からは想像も出来ないほど色っぽい顔
「っ‥じゃあ続きは人のいないところでしましょうか」
名残惜しいけれども口を離すとうるりとした瞳で見上げられる
『続き‥?』
「はい。また後で‥その時は止めてあげれないと思うので覚悟しててくださいね」
『えっ‥?それって‥?』
先輩が聞き返そうとした時に
パーン パーン
と大きな花火が空に打ち上がる
『わあっー!!花火だっ!!月島君っ!!綺麗だね!!』
花火の上がる方へと小走りで駆けて行く
さっきまであんなに妖艶な顔をしていたのに
今はキラキラと目を輝かせて花火を見ている
ほんっとコロコロと表情が変わる‥
隣に並んで小さな手をギュッと握る
花火を見上げる先輩の横顔が綺麗すぎて
花火よりもよっぽど綺麗なんじゃないかと思える程だった
『綺麗だね〜!月島君と来れて良かった!!』
急にこっちを向いて花火よりも眩しい笑顔で笑うもんだから、僕まで顔が真っ赤になるのが分かる
「っ‥そうですね。僕も先輩と来れて良かった‥」
ふふっと目を細めて笑う姿が可愛すぎて
ちゅっと軽く口付けをすると
先輩の大きな目がパッと更に大きく開かれる
「かわいい‥」