第3章 烏養繋心 秘密の恋人
武田先生が私の肩をぽんっと優しく叩く
「白鷺さんは頑張り屋さんですからね‥何があったのか分かりませんが無理は禁物ですよ?」
『はいっ‥ありがとうございます』
「さあっ!では烏養君が来るまでは僕が白鷺さんの傍に着いてますので皆さんは気をつけて帰ってくださいね!」
心配したみんなが集まってきてくれていたみたいだった
『ごめんなさいっ‥みんなありがとう‥』
申し訳なくなってじわりと涙が滲むけれども皆んなが優しく私の頭を撫でていく
「いーのいーのっ!大丈夫そうで安心したわ!」
「俺らの大事なマネージャーなんだからなっ?!」
『っ‥ありがとうっ‥ございます』
みんなに手を振って烏養さんが来るのを待っていると段々と昨日の事を思い出して心臓がドキドキとしてくる
私‥振られたばっかりなのに‥
こんなにドキドキしてどうするのっ‥
胸が苦しくなってきて両手で押さえる
「おーーーい!!待たせたなっ!大丈夫かっ?!」
はぁはぁと息を切らして烏養さんが走ってきてくれる
「ありがとうございます!だいぶ落ち着いて来ましたよ!では白鷺さんを頼みますね?烏養君」
「任せとけ先生!じゃあ帰るぞ!歩けるか?」
私の目の前に烏養さんの顔がずいっと近づいてくる
『はっ‥はい!!多分っ‥歩けます!』
パッといきなり立ち上がるとまた頭がフラッとして倒れそうになる
「ばっ‥!そんないきなり立ち上がるやつがいるかっ!ほらっ!乗れっ!」
倒れそうになった私を支えてくれた烏養さんがしゃがんで背中を向ける
『えっ‥と‥?』
「おんぶしてやるから!遠慮すんな!」
強い口調だけれども私の事を心配してくれているのが分かる
『分かりましたっ‥ありがとうございます‥重たかったからごめんなさいっ‥』
おそるおそる烏養さんの大きな背中に抱きつくと
ヒョイっと持ち上げられる
「軽っ!!お前ちゃんと食ってるか?!ちゃんとつかまっとけよ?」
『はいっ‥』
烏養さんの首に手を回してギュッと抱きつく
好きな人の大きな背中にドキドキが止まらない
昨日諦めるって言ったのに‥ドキドキしすぎて烏養さんに伝わってしまいそうっ‥
「さ!歩くぞ!じゃあ先生またな!」
私をおんぶしながら烏養さんはすたすたと歩いていく