第3章 烏養繋心 秘密の恋人
繋心side
「おーい‥何してる?うちのマネージャー借りてっていいか?」
白鷺の肩を掴むそいつの手首をバッと握って話しかける
『烏養さんっ‥』
「は?誰だよこいつっ‥」
「俺はバレー部のコーチだよ‥こいつの保護者みたいなもんだ」
『っ‥!』
そう言うとそいつは不貞腐れたようにブツブツ言いながら帰って行った
「大丈夫か‥?お前本当にモテモテだな〜」
『大‥丈夫ですっ‥ありがとうございましたっ』
「っ!」
俺を見上げてくる大きな瞳は昨日泣き腫らしたのか少し充血している
また胸がズキっと痛む
こんな顔させたいんじゃないのに
さっきだって他の生徒に告白されてるところみて
すっげーむしゃくしゃして‥
白鷺に触れる手に嫉妬した
自分で振っておいて‥なんて勝手な奴なんだ俺は‥
『じゃあっ‥私着替えてきますねっ!』
ぺこりと頭を下げるとニコッと笑って走って行ってしまった
これでいいんだよ‥な?
白鷺の為を考えたらこれがいいんだ
「さてっ‥気持ち切り替えねーとなっ‥」
バチンッと自分の頬を叩いて気合いを入れて体育館へと入っていく
「花澄の目が赤いっ?!どーした?!誰に泣かされたっ?!」
西谷が大声を出すから白鷺の周りに部員達がわらわらと集まる
『へっ?!そうかなっ‥?!泣かされてないから大丈夫だよ〜!!』
見てて分かるがバレー部の奴らも殆ど白鷺の事狙ってるみてえだ
ほんとなんで俺なんか好きになったんだ‥?
『烏養さん!今日もお願いします!』
「うわっ?!お‥おう!今日も始めんぞー!!」
いつの間にか俺の横にいつも通りに振る舞おうとしている白鷺が立っていてビックリする
そう‥何事もなかったかのように
いつも通りの姿をみて胸がチクっと痛む
諦めの悪い俺の心
「「「おつかれっしたー!!」」」
部活が終わってそれぞれが体育館から出て行く
さ‥そろそろ俺も帰るか‥
荷物を持って立ち上がった時にいきなり外からバタンっと大きな音がする
「ん‥なんの音でしょうね‥?」
武田先生と顔を見合わせているとすごい顔をした田中が体育館へ走り込んでくる
「せんせーー!!!花澄がっ!!倒れたっ!」