第3章 烏養繋心 秘密の恋人
繋心side
『あのっ‥私‥コーチの事好きになっちゃいましたっ‥!私と‥お付き合いしてもらえませんかっ?」
「‥へ?」
突然の事に咥えていたタバコを落とす
俺が烏野のコーチをするようになってから数ヶ月
ある日の坂の下商店にマネージャーの白鷺がやってきた
「おう!どうした?なんか買いもんか?」
レジから顔を出すと顔を真っ赤にして制服の裾をギュッと掴んだまま動かない
「ん?なんかあったのか?」
少し心配になって近付いていくと突然告白されて頭が真っ白になる
「‥へ?」
『烏養さんの事がっ‥好きっ‥です‥』
落としたタバコもそのままに近付いていくと潤んだ瞳で見つめられる
「いやっ‥ちょっと理解が追いつかねぇ‥白鷺が?俺を‥?」
ガシガシと頭を掻きながら白鷺の顔を覗き込む
『はいっ‥烏養さん‥私達の為に色々頑張ってくださって‥ずっとみてるうちに好きになっちゃって‥我慢しようと思ったんですけど‥』
「待て待て待て‥知ってると思うが俺26歳だぜ?揶揄ってるのか‥?」
『ー‥っ!揶揄って‥ませんっ』
少し傷付いたような顔をするから胸がズキッと痛む
こいつがそんな真似をするわけがねえのは俺がよく知ってる
真面目で誰よりも頑張り屋で
こんなちっこい体でいつもバレー部を陰から支えてくれた奴だ
「ごめんっ‥そうだよな‥でも‥俺はやめとけ?俺にはお前は勿体なさすぎるっつーかそもそも歳が違いすぎるし‥」
学校生活の事は知らないがこいつがよく告白されてんのは見たことがある
なんなら試合会場でも声掛けられてるところを助けた事もある
なんで俺なんか‥?
白鷺を初めてみた時はあまりの可愛さに正直驚いた
見るつもりがなくてもつい視界に入ってしまう高校生らしからぬ大きな胸やスタイルの良さも‥モテるだろーなくらいに思ってた
細っこい身体して‥誰よりもよく動いて俺のサポートだって一生懸命してくれる
どんだけ気が効くんだってくらい色々頑張ってくれるから正直すげー助かってたし‥
そんな姿を見る度にドキドキしてしまう自分の気持ちに蓋をしてきた
だって‥何歳差だ
こんなおっさんに好かれても嬉しかねーだろーし‥
気付かないフリしてやり過ごしてきたってのに