第24章 菅原孝支 初恋
菅原side
逸る気持ちを抑え切れず
目の前の花澄ちゃんの両肩を掴む
『スガさん‥?』
ゆっくりと顔を近付けるときょとんと開いた大きな目が動揺したのか少し揺れる
あと少し
もう少しで唇が重なり合うってときにポケットに入れていた携帯がなり始める
「こんな時に‥‥って大地か‥はいはーい!どーしたー?」
がっくりした気持ちを悟られないように明るく電話にでる
「もう家着いたか?花澄の事頼んでごめんなー!」
「いや‥まだ俺ん家には着いてないけど花澄ちゃんは送り届けたから!心配すんなよー!」
「悪い!ありがとな!じゃあまた明日」
大地との電話を切って改めて花澄ちゃんに向かい合うと今度は花澄ちゃんの携帯電話がなり始める
『あれ‥大地だ‥でてもいいですか?』
「もちろん!どーぞ!」
キスしたかったのにすんでのところでお預けを食らったが大人しく電話が終わるのを待つ
『もしもし‥大地?どうしたの?えっ?!今から?』
大地がなんて言ってんのかは聞こえて来ないが
どうやら今からここに来ようとしているらしい
困ったようにこっちをみる花澄ちゃんに
OKサインを出す
幼馴染だしな
仕方ないよな
なんて思いながら帰る用意を始めているとまだ大地と話していた花澄ちゃんが言いにくそうに話し出す
『大地‥えっと‥やっぱり今日はごめんなさい‥また今度でもいいかな?』
「えっ?!」
まさか断ると思ってなかったからジェスチャーで伝えるけどふるふると首を振る
『用事って言うか‥あの‥スガさんがお家にきてて‥うん‥ごめんね‥また今度』
「大地良かったの?!俺は全然大丈夫よ?なんたって、もう花澄ちゃんの彼氏だし?いつでも会えるべや?」
電話を切った花澄ちゃんに冗談混じりに明るく話しかける
ほんとはまだ一緒に居たかったから
ズルい本音を言えば断ってくれて嬉しかったけど
そんな本音は知られたくなかった
『勝手に断ってごめんなさい‥いつでも会えるのは嬉しいです‥でも‥』
「でも‥?」
『今は‥まだもうちょっと一緒にいたい‥です‥』