第24章 菅原孝支 初恋
自分の気持ちを伝えるだけなのに
どうしてこんなにもドキドキして
胸が苦しくなっちゃうんだろう
たどたどしく話す私の声にもゆっくりと頷いて
目尻が優しく細められる
そんな菅原さんに見つめられるだけで
息が止まっちゃいそうなほどドキドキした
ちゃんと伝えたいのに
ドキドキと
恥ずかしさと
いろんな気持ちがごちゃ混ぜになって
じわりと目が涙でうるみ始める
こんな事突然伝えて困らせちゃったらどうしようと思っていると
突然菅原さんがへなへなと目の前にしゃがみ込んで顔を隠す
髪の隙間から見える耳まで真っ赤に染まっていて
急にお熱が出始めたんじゃないかと焦っていると大きくてあったかい手にギュッと握りしめられる
あったかいと言うより熱いくらいの大きな手
ドキドキとうるさい心臓
どっちの熱かもわからない程お互いの体温が上がっていくのが分かる
「やべ‥‥めちゃくちゃ嬉しい‥‥‥」
気持ちを伝えた後暫く黙り込んでしまった菅原さんがようやくぽつりと話し出す
「まさか‥‥え‥‥ほんとに‥‥?嘘じゃない?」
『嘘じゃないですっ‥!ほんと‥ですっ』
「そっか‥‥そっか‥‥やべー‥俺‥‥嬉し過ぎて泣くかもしんないわ」
噛み締めるように呟いた次の瞬間
ぐすっと鼻を啜った菅原さんに強く抱き締められた
『〜っ!』
制服に自然と顔を埋めると爽やかな菅原さんの香りがして
急に近くなった距離に私の心臓がさらに騒ぎ出す
恥ずかしくて
でもずっとこのままでいたくて
好きで
好きで
もっともっとくっつきたいなんか思っちゃう‥
そっと背中に手を回しておそるおそる私も菅原さんを抱きしめてみる
『菅原さん‥‥好き‥‥です‥』
みんなの好き
とはまた違う
ドキドキの好きが溢れてきて
小さな声で伝えてみる
「っ‥‥花澄ちゃん‥俺も‥初めて会った時から好きだったよ‥」
そう言うとさらにキツくぎゅーっと抱きしめられて
胸がドキドキして
恥ずかしくて
こころのなかが幸せな気持ちでいっぱいいっぱい溢れてきた
溢れた気持ちが涙になって
気付けばぽろぽろと涙が溢れおちる