第22章 木葉秋紀 初めての
そんなに肌寒い訳でもないのに
なぜか皆んなが次々とジャージを着せてくれて
その度に木葉先輩の表情が曇っていく
何の勝負か分からないけれど
結局一番始めに袖を通した音駒のジャージを今日は着る事になって
皆んなが悔しそうにしている
『木葉先輩‥なにか怒ってますか‥?』
練習試合の合間
それぞれがドリンク休憩をとる中で
俯く木葉先輩の横に腰掛ける
「今は我慢するけど‥帰ったら知らねーからな‥」
『ひゃっ‥』
片手でむにゅりと頬を掴まれる
「もう一つの初めてもらうから」
休憩時間が終わってさっと立ち上がる木葉先輩に
もう一つの初めてが何か聞けないままだった
そして全ての練習試合が終わって
自宅への帰り道
私の手を強く握ったまま早足になる木葉先輩のあとを必死についていく
いつもならゆっくりと歩いてくれる木葉先輩
私は何かよっぽど先輩を怒らせてしまうような事をしてしまったのかもしれない
自宅に着いて私の部屋の中
正座をして向かい合う
『木葉先輩‥なんで‥怒ってますか‥?』
「ジャージ‥」
『ジャージ‥?』
結局あの後最後まで黒尾さんのジャージを着る事になって
今も赤のジャージを身につけていた
『これですか‥?着て帰ってって言ってくれたので‥明日も練習試合あるし、明日洗って返しますよ?』
「黒尾のもんみたいですっげーヤだ‥」
『えっ?!それは‥』
聞き返そうとすると気がつけば押し倒されていた
「いつまで着てんだよ‥」
まだ少し苛立ちを含んだままの
木葉先輩にあっという間にジャージを脱がされると
そのまま衣服を全て剥ぎ取られてしまう
『先輩っ‥ごめんなさい‥』
いつもよりも少し手荒な手つき
何がここまで木葉先輩を怒らせてしまったのだろう
「分かるまで分からせてやるから」
そう言うと木葉先輩もジャージを全て脱ぎ捨てて
私をくるりと反転させる
先輩にお尻を突き出すようなこの格好
何度しても恥ずかしくて慣れない体勢に身体の熱が一気にあがっていく
『これっ‥や‥ですっ‥』