第22章 木葉秋紀 初めての
木葉side
合同練習の日
いつもよりもさらに早起きして学校へと向かう
花澄ちゃんは普段の練習の時は勿論
合宿の日は他校を使わせてもらうからって早く行って掃除とかしてくれてる
皆んなが来る前にちょっとでも2人っきりになれたらいいなーなんて淡い期待を胸に体育館へ向かうと
赤を纏う小さな背中が目に入る
音駒には女マネはいないし
他校にもあんなに背の低いマネは‥うちの花澄ちゃんしかいない
ずかずかと近寄っていって後ろから覆い被さるようにして肩に肘をつく
「梟谷には何人も女マネいるんだし、花澄ちゃんくらいうちの子になっても良いんじゃないでしょうか?」
俺の彼女に
独占欲のブカブカの赤のジャージを着せて挑発するようにうっすらと笑う
こいつ‥俺と付き合ってんの気付いてんな
『あのっ‥そろそろ準備しませんか‥?』
バチバチと火花を散らす俺たちを少し不安そうに見上げてくる
いつもは梟谷の白いジャージがすっげぇ似合ってるけど
赤もめちゃくちゃ似合ってて
それがちょっと悔しかったりする
「音駒のジャージまで似合ってんじゃねーよ‥」
『木葉先輩‥?』
「へいへいへーいっ!!なんで音駒のジャージ着てんのっ?!赤もめちゃくちゃ似合ってっけどなんかヤだ〜っ!!俺たちのもんなのにっ」
『わぁっ‥木兎先輩っ‥』
騒がしい木兎までやってきて花澄ちゃんの腕をぐいぐいと引っ張る
「何を騒いでるんですか‥」
『あっ‥赤葦くんっ‥!』
「‥なるほど、これは見過ごせませんね」
そう言うと羽織っていたジャージを脱いで赤いジャージの上から羽織らせる
『えっ?!私そんなに寒くないよ‥っ?』
「一番に着せたもん勝ち〜!」
「なんか楽しそうじゃん〜何してんの〜?」
ワイワイとした雰囲気を感じ取った烏野の爽やかな副主将までもやってくる
「花澄ちゃん争奪戦」
にやりと笑う黒尾の横をやれやれと通り過ぎる烏野主将
「争奪戦‥‥ノった!」
そう言うと烏野の黒いジャージを白の上に羽織らせた
いつの間にか争奪戦に巻き込まれている俺の彼女