第21章 赤葦京治 僕の先輩
赤葦side
少しの沈黙が流れた後
繋いだ手にきゅっと力が入って
火が出そうな程に顔を真っ赤にしてこくりと頷いた
「ま‥さか‥そうなれば良いなって思ってましたけど‥まさか‥本当に‥先輩が‥俺の事‥」
どんなに時間がかかってもいいから手に入れたかった先輩が
まさか昨日の今日で俺の彼女になってくれるなんて思いもしなかった
持っていたカバンを落として
昨日抱きしめた身体を今度は正面からギュッと抱きしめる
『赤葦くんっ‥』
閑静な住宅街だったけど
ちらほらとすれ違う人たちが俺たちをみて振り返る
『みんなみてるからっ‥後で‥ねっ?もう私の家すぐそこだから‥』
「すぐって‥ほんとにすぐですか?」
『ほんとだよっ‥!そこに見えてる赤い屋根のお家‥だから‥』
どんなに手を伸ばしても届かなかった先輩達の背中
先輩に触れる手が
羨ましくて仕方なかった
今は俺が抱きしめていると思ったら少しの距離でさえ煩わしい
パッと顔をあげるとすぐそこにある赤い屋根の家
確か先輩はお兄さんと2人暮らししてたはず
「家に人は‥?」
『お兄ちゃんの事かな‥?今日は会議があるから遅くなるって言ってたよ』
「そうですか‥」
『ね、行こっ‥!』
背中をとんとんと優しく叩いて
抱きしめた身体を離すとくいくいと袖を引っ張ってくる
正直可愛すぎて困るくらいだ
『送ってくれてありがとうっ!せっかくお家まできてもらったし‥赤葦くんが良ければあがっていかないかな‥?』
玄関で靴を脱ぎながら
俺の方を向いて少し首を傾げる
「先輩がいいならお邪魔したいです」
家まで送る事になった時
母親には一応遅くなる事をメールしておいた
『そうっ?よかった〜!お茶でも入れるからあがってね』
まだほんのりと頬を赤く染めたまま嬉しそうにふわぁっと綻ぶ顔に心臓がドキッと跳ねる
『赤葦くん‥?』
「可愛すぎます‥」
『んっ‥』
堪えきれずに唇を重ねるとあっという間にまた火が出そうな程顔が真っ赤に染まっていった
想像以上に柔らかな唇
近付いた身体にふにゃりと形を変えて密着する大きな胸
全てが俺を欲情させて
理性が持ちそうにない