第21章 赤葦京治 僕の先輩
赤葦side
勢いに任せて小さな手をぎゅっと繋いでみる
ぴくりと身体が揺れて
昨日みたいに顔が真っ赤に染まっていった
『う‥うん‥大丈夫‥』
部活中はいつもと変わりのなかった先輩も
部活が終わると途端にまた挙動がおかしくなり始めて心配になったから
つい家まで送るなんて言ってしまった
気持ちを伝えたら今まで我慢していた事も出来なくなって
先輩に触れる木兎さんや木葉さんですら嫉妬でおかしくなりそうだった
ただ気持ちを伝えただけなのに
独占欲が溢れ出る
『赤葦くんは‥私のどこを好きになってくれたの‥?』
先輩に歩幅を合わせてゆっくりと歩いていると
小さな声が聞こえてくる
「え?それは沢山ありすぎて伝えきれるか心配なのですが‥まず人柄ですかね。人に優しく、自分に厳しく。努力してるのにそんなとこは全く見せずにふわふわと柔らかい笑顔をしていて‥その場が明るくなる。誰よりも周りをみて皆んなの為を思って行動する。それが見返りを求めていない行為だと分かるからすごいと思いますしそれに‥」
『まっ‥待って‥ありがと‥っ‥もう大丈夫‥っ』
白い肌が赤く染まる
繋いでいる手の体温がさらに高くなってじんわりと背中に汗が滲んだ
「それに誰よりも優しくて可愛い」
『赤葦くんっ‥』
「そんな先輩が好きです」
もう一度真剣に伝えた言葉にびくっと肩が揺れて先輩が俺の顔をみる
大きなその目が真っ直ぐに俺を見つめて
こくりと息を呑むのがわかった
『わ‥わたしも‥赤葦くんの事が‥好き‥だったみたい‥』
ふぅっ‥と小さく息を吐いてから伝えてくれる言葉に目を見開く
「えっ‥?」
今‥俺の事好きって言った‥?
好きな人と繋いだ手のおかげでただでさえうるさかった心臓が
おかしくなりそうなほどにドキドキと騒ぎ出す
『昨日の夜からずっと考えてて‥赤葦くんのこと考えると胸がドキドキして‥胸が苦しくなるの‥顔を見たらもっとドキドキして‥』
かわいい声で一生懸命にぽつり
ぽつりと話し出す
「それって‥俺の事好きって‥付き合ってくれるって事ですか‥?」
自分で言いながら嬉しすぎて声が少し震えてるのが分かる