第21章 赤葦京治 僕の先輩
「ん〜?相変わらずすっげぇかわいいけど‥何があったかは分かんねー!木葉おしえてっ!」
梟のような大きな目で木兎くんに至近距離で見つめられるけど
赤葦くんの時みたいなドキドキはない
「ぜってー嫌!それに俺もまだ諦めるわけにはいかねーし」
『‥?』
今度は切れ長の木葉くんの目にじっと見つめられるけど
やっぱりさっきみたいなドキドキはこなかった
「2人とも‥近すぎます」
木葉くんと木兎くん
そして私の間に割り入るようにして入ってくるから身体が少し赤葦くんに触れる
ちょこんと触れただけなのに
そこがじんじんと熱を持っているような気がしてきた
「はいはい!そこまで〜!とりあえず部活始めるよ〜」
小見くんの声がけで部活が始まって
部活が始まるといつも通りでいられた
「お疲れっしたー!!」
いつも通りでいられたけど
それは部活の間だけだったみたい
「今日良かったら家まで送って行っていいですか?いつもと少し様子が違うのが気になって‥」
制服に着替え終えて
みんなで校門まで向かっていると赤葦くんがこっそり私に話しかけてくる
『えっ?!それはっ‥申し訳ないしっ‥元気だから大丈夫だよ‥っ!』
「送るって何っ?!アカーシだけずるい!俺も行くっ!」
いつの間にか隣にきていた木兎くんにギュッと手を掴まれる
「木兎!邪魔しないの!花澄は遠慮せずに送ってもらいなよ〜!今日お兄さんいないんでしょ?なんかあったら私も心配だしね〜」
『でも‥身体は元気なんだけど‥』
「こんな事言ってるけど胸が苦しいらしいから赤葦お願いできる?ほら、木兎は帰るよ」
「えー!アカーシいいなー!」
『えっ?!雪ちゃん‥っ?!』
またいつもの優しい顔でにこりと微笑むと
私の手を掴んでいた木兎くんの手を引っ張って歩き出す
「じゃあ行きましょうか。歩けなければ背負っていきますが‥」
おもむろに私の前でしゃがんで背中をだす赤葦くんに慌てて手を振って否定する
『ぜんぜんっ!歩けるよっ!さっきまで部活もできてたしっ!ねっ?』
「‥じゃあ、手繋いで帰ります。いいですよね?」
赤葦くんの大きな手が私の手を包み込む