第21章 赤葦京治 僕の先輩
赤葦くんが‥好きって‥
付き合って欲しいって‥
思い出すとまた鼓動がドキドキと早くなる
「顔赤いけど熱ある?」
『わぁっ!雪ちゃん‥!』
「いつもならすぐに体育館向かってるのに珍しいね」
にこりと微笑む雪絵ちゃん
昨日赤葦くんに言われた事を考えてたら
あっという間に放課後になっていた
『熱はないっ‥けど‥ドキドキして‥』
今まで感じたことのない胸がきゅうっと締め付けられる感じに制服を掴む
「へぇ〜‥それってもしかして恋じゃない?」
『恋っ?!赤葦くんに‥?』
取り乱して
つい赤葦くんの名前を口にしてしまったことも自分で気付かないままガタッと机から立ち上がる
今まで
告白してくれた男の人はいたけど
勉強とか部活とかが楽しくて
付き合うっていうのもよくわからなかったし
恋っていうのがどんな気持ちになるのかもよく分かってなかったけど‥
赤葦くんの事を思い出すと顔が熱くなった
「やるじゃん‥赤葦‥まぁとりあえず部活行こ〜!」
にこにこと嬉しそうに私の背中を押しながら歩く雪絵ちゃんと体育館まで歩いて行く
バレーシューズを履いている赤葦くん
いつもとなんら変わりのない光景なのに
その横顔を見るだけでドキドキしちゃう
「あぁ‥可愛い‥鈍感な天然花澄がついに恋を自覚したのね‥」
すりすりと雪絵ちゃんに抱きしめられる
『ど‥どうしよっ‥私‥変な顔してない‥?』
「大丈夫!死ぬほど可愛い」
ぐいっと背中を押されて体育館へと入ると赤葦くんが心配そうに私の元へ駆け寄ってくる
今までなんともなかったのに
なんでこんなにドキドキするの‥っ?!
「大丈夫ですか?やっぱり熱があるんじゃ‥?」
ギクシャクと歩き出すと目の前に赤葦くんがきて
私の顔を覗き込む
『ひぇっ‥』
「‥?」
とっても顔が近くて
ドキドキしすぎて
おかしくなっちゃいそう‥
「なんとなく何があったか察しはついたけどよ〜‥悔しいから離れろっ」
『わっ!木葉くん‥っ』
「なにっ?!何があった?!」
木葉くんにぐいっと引っ張られて赤葦くんから引き剥がされると
今度は木兎くんが私の顔を覗き込む