第21章 赤葦京治 僕の先輩
赤葦side
「とにかく‥ストレートに告白して意識してもらえるまで真っ向勝負するしかない!」
「‥頑張ります」
そうは言ったものの
学年が違うから日中会う事は殆どないし
放課後も部活の時は誰かしらに囲まれているから2人きりで話せる機会もなかなかない
「俺‥なんか今日ダメかもしんない‥」
ぺしょりと落ち込んだ木兎さんの横にしゃがんで目線を合わせて話に行く
『全然ダメじゃなかったよ?ちょこっとだけいつもの調子を忘れちゃっただけだと思う』
「花澄‥」
『ひゃあっ!』
「木兎さんっ‥!それは危ないです」
ふわりと小さな身体を掴んで
小さな子を高い高いとあやすように持ち上げている
「ごめん!テンション上がったらつい‥っ!」
『わぁっ‥と‥大丈夫‥!支えてくれてありがとう赤葦くん!』
そっと木兎さんにおろされた先輩がよろけて
その身体を支える
初めてしっかりと触れる身体
「ふわふわ‥」
華奢な身体だけれど触れた肌は驚く程柔らかい
『ふわふわ‥?』
腕の中で俺を見上げる可愛い顔
「っ!すいません‥何でもありません」
パッと手を離すとふんわりと微笑んでまたベンチへと戻っていく
そうして中々想いを伝えられる機会もないまま毎日が過ぎていく
早くしないと
他の誰かにとられるかもしれない
そんな焦燥感だけが積もっていった
『っくしゅ‥』
冬の練習終わり
それぞれが帰路についたあと
忘れ物をした事に気付いて体育館へ戻ると入り口の前で白い肌をほんのりと赤く染めて寒そうに立っている先輩がいた
「白鷺先輩‥どうしたんですか?」
『忘れ物したから取りに来たんだけど‥体育館見てたらなんだか切なくなっちゃって‥私達はあと少ししかここで皆んなといられないんだなーって思ったらさ‥』
綺麗に通った鼻筋の先もほんのりと赤く染まっている
3年生だから仕方のない事だけど
切ない気持ちと
この人を離したくないって気持ちがどうしようもなく高まって
後ろから覆い被さるようにして先輩をベンチコートで包み込んだ
『赤葦くん‥?』
密着する身体に心拍数がどんどんと上がっていく