第21章 赤葦京治 僕の先輩
赤葦side
あと一年
早く生まれていればなんて
そんな事を考えても仕方ない事だって分かってる
それでもそんな事を考えてもやもやとしてしまうのは先輩の事をどうしても諦めたくないからだ
『木葉くん!みてみて!今度の修学旅行のことなんだけどね‥』
「んー?どした?‥って木兎近いっ!」
「いいじゃーん!俺だって花澄に近付きたいのー!」
帰り道
3年生組が楽しそうに話しているのをみて羨ましい気持ちになる
俺だって
3年生だったら、ああやって白鷺先輩と肩を並べて歩けたのに
体育祭
文化祭
修学旅行
一緒に過ごせる木兎さん達が羨ましくて仕方がない
『赤葦くんっ!難しい顔してどーしたの?何か悩んでることある‥?』
「っ?!別に‥何でもありません」
気付けば俺の横にきていた先輩がくりっとした大きな瞳で見上げてきて思わず顔が赤くなるのが自分でもわかった
ふわふわと天然そうにみえて周りの事をよくみているから
こうやってすぐに部員達の何かしらのサインにもすぐ気付いてくれる
『それなら良かったけど‥なにか話したくなったらいつでも言ってね?』
まだ少し心配そうに眉を下げながらも
無理に聞き出そうとする事はしない
気遣いが出来る先輩はいつもそうだ
そんな先輩にどれだけ救われてきたか分からない
「花澄ー!アカーシにばっか構ってないで俺にも構ってー!!」
『木兎くんとはクラスも一緒だから殆ど一緒にいるでしょ〜!』
前の方でぴょんぴょんと跳ねる木兎さんのもとへと戻って行ってしまった
「好きなんだよね‥花澄の事?ライバルは多いし超がつくほど鈍感だから頑張って!私は赤葦の事応援してるよ」
「っ!白福先輩‥気付いてたんですか?」
「まぁね‥!見てりゃ分かるよ」
もぐもぐとおにぎりを食べながらもう1人の3年生のマネージャー白福先輩がニヤリと笑う
「隠してたつもりなんですけど」
「女子の勘舐めてもらっちゃ困るね〜」
「どう‥したらいいと思いますか?」
前を歩く先輩達は相変わらず仲が良さそうに白鷺先輩の肩に手を回して歩いている
「知ってると思うけど鈍感だからね〜」