第20章 月島蛍 この腕の中に閉じ込めて
月島side
家までの帰り道
興奮した様子で嬉しそうに今日の試合の事を話し出す花澄が可愛くて幸せな気分で満たされていく
『はぁっ‥ほんとに今日の蛍はすごかったね‥いつもすごいけど‥かっこよくって‥』
ソファにくたりと座り込みながらもいまだに興奮が収まらないようで目をキラキラと輝かせて嬉しそうに話している
「そんなに褒めてもらえると嬉しいけどさ‥ちょっと落ち着きなよ?」
横に腰を下ろして頭を優しく撫でながらそっとお腹に手を伸ばす
カバンについたキーホルダー
『ごめんね‥嬉しくってつい‥』
指輪をはめた細い指がゆっくりとお腹を撫でる
指輪を渡して
改めてプロポーズをしてから数週間
体調不良が続く花澄の身体に新しい命が宿っていることが分かった
「それで‥次の検診いつ?性別は?」
『今度は二週間後だよ‥性別はまだ分かんないんじゃないかな〜』
ふわりと優しく微笑む花澄をギュッと柔らかに抱きしめる
「女の子だったら花澄に似てきっと可愛すぎるだろうし今から心配で‥男だったら‥嫉妬するかもしれない」
子供だろうがなんだろうが
花澄の一番は僕でありたい
むっと眉間に皺を寄せると可愛い笑顔がさらに砕けて声をあげて笑い出す
『女の子だったらお父さんに似るって言うから蛍に似るんじゃないかな〜?きっと可愛いだろうな〜!でも‥男の子でも蛍に似て欲しいな‥』
「僕が2人‥絶対花澄に似た方がいいでしょ‥」
『え〜?蛍に似た方が絶対かっこいいよ〜?』
「子供でも‥僕以外にかっこいいって言うのは許さないからね?」
くつくつと笑う花澄をじっと見つめる
「あー‥抱きたい」
腕の中に花澄を抱きしめたままポツリと呟くと耳が一瞬にして赤く染まる
『少し‥がまんね?』
「少し‥ね」
やっとこの腕の中に閉じ込めた愛しい温もりを離さないようにそっと力をこめる
『‥だいすき』
「僕も‥」
穏やかに流れる幸せな時間にそっと目を閉じて
腕の中の温もりをさらに抱きしめた
fin