第20章 月島蛍 この腕の中に閉じ込めて
「いやー!!今日は最高の試合だったな〜!特に月島選手はやばすぎたわ!!」
「今日のMVPは間違いなく月島選手だよな」
皆んなが笑顔を浮かべて満足そうに帰っていく姿を見て私も顔が緩んでしまう
「ツッキー嬉しそうでしたね」
『山口くんっ!』
後ろから声がして振り返ると首から関係者の名札をかけた山口くんがこちらに向かって歩いてくる
「あんなに幸せそうなツッキーみてたらこっちまで幸せ気分になりましたよ!結婚おめでとうございます」
『ありがとうっ!山口くんには高校の頃からたくさんお世話になりましたっ‥!』
「そんなっ‥とんでもない‥!この後ツッキーに会っていきますか?」
椅子から立ち上がる私をそっと支えてくれる
『じゃあ‥少しだけ』
「段差気をつけてくださいね」
『ありがとう!』
観客席の少し急な階段をゆっくりと降りていく
そのまま裏口まで連れて行ってもらって
関係者専用の通路を通っていく
「また改めて結婚のお祝いさせてくださいね!烏野の皆んなで集まれたら良いなーって谷地さんとも話してたんです」
『わぁ〜それは嬉しいな!みんなにも久しぶりに会いたいな〜』
「体調が落ち着いたらぜひ教えてくださいっ!」
私のカバンをちらりとみて山口くんが微笑む
『うんっ!もう随分落ち着いてきたからまた連絡するね!』
2人でふふっと笑い合っていると控室の扉が開いて月島くんが一番にこっちにやってくる
「体調は大丈夫?」
『うんっ!今日は元気だよ!気持ち悪いのもほとんどないの!』
「そっか‥良かったけど、うるさい人達が出てくる前に帰るよ」
そう言うと私の腰にそっと手を添えて歩き出す
『えっ?!もう帰るの?皆さんに挨拶は‥』
「あの人たちに花澄と会わせたらロクな事にならないから‥」
「ツッキーまたね!花澄さんもまたっ!」
「また連絡する」
山口くんに2人で手を振って車へと向かう
『挨拶‥ほんとに良かったのかな?』
助手席に乗り込んでシートベルトをつけながら運転席に座る蛍をちらりとみる
「今日はみんなテンションがおかしかったから‥また後日」