第20章 月島蛍 この腕の中に閉じ込めて
月島side
「仙台フロッグスの月島蛍、可愛すぎると話題のファンと結婚発表‥だって?!羨ましすぎんだろ〜!!!月島め!興味ないふりしてちゃっかり結婚だなんて‥」
試合前の控室
他の選手達がネットニュースを見て悔しそうに騒ぎ立てる
「まぁ高校の時から付き合ってたもんね?口止めされてたから言えなかったけど」
隣でユニフォームに着替えながら黄金川がにこっと微笑む
「及川さんもすっげぇ悔しがってたもんな‥」
京谷もぼそりと呟きながら通り過ぎていく
「と言うわけなので‥僕の奥さんに手出ししないでくださいね?」
にっこりと笑って立ち上がる
「くっそ羨ましいーーーー!!」
控室にこだまする叫び声を背に扉を開けてコートへと歩いて行く
他の選手達も入場していく中
歓声が響き渡る
その中でも
僕がコートに姿を現すとさらに大きくなる歓声‥というよりどよめき?
観客席を見渡すと一番前の席に座って嬉しそうに手をふる花澄
その左手には僕があげたシルバーの結婚指輪がきらりと控えめに主張する
相変わらずこの距離でも分かる眩しい程に可愛い奥さんの姿に顔が少し緩んでしまう
「おいっ!いくら奥さんが可愛いからってニヤケてんなよ!」
「そんな顔してっと負けちまうぞ!」
揶揄うようにチームメイト達に肩を叩かれて振り返る
「まさか」
『?』
花澄の顔をじっと見つめるとちょこんと首を傾げている
「結婚発表した日に奥さんもきてて‥負ける訳ないでしょ?そんなかっこ悪いところみせられないんで」
「あーもーかっこいいなー!!悔しいけどっ!!」
チームメイト達もニヤリと笑う
「じゃあめでたい日って事で‥景気付けに一発!ド派手な勝利かましてやろうぜ!」
「シャーっ!」
暑苦しいほどテンションの上がったチームメイト
そんな皆に引っ張られるようにしてプレーに熱が入る
今日の相手はなかなかに強豪
なんせ牛島みたいなパワープレイをするアタッカーがいる
僕の目の前で高く飛び上がる選手
「それでも‥っ‥今日はいいとこみせないといけないんでね‥」