第20章 月島蛍 この腕の中に閉じ込めて
「花澄ちゃんかなり有名人だよ!こないだ会社の広告にちょっと載ったじゃん?あれみて取引先の人が僕に声掛けてきたんだよ〜!試合によくいる美人な子は君の会社の子だったのかって!」
『えっ?!それは‥恥ずかしいですね‥』
「選手とご飯行けるなんてそうそうないしさ!僕も行くから!」
『はい‥!ではお願いします!』
この時はあんなに蛍に怒られる事になるなんてちっとも考え付かなかった
「おまたせー!じゃあ行こっか!」
『はいっ!お願いします!』
先輩とたどり着いたお店はこじんまりとしているけれどもとてもお洒落で感じのいいお店だった
「お待ちしておりました‥奥の個室へどうぞ」
店員さんに案内されて少し薄暗い店内の中
一番奥の個室へ案内される
『し‥失礼します』
ゆっくりと中に入ると取引先の人と
蛍のチームメイトがすでにお酒を飲んでいた
「うわぁ〜!やっぱりめっちゃ可愛いっすね!コートの中からみててもすっげぇ目立ってますよ!」
『わっ!あ‥ありがとうございますっ!』
目の前に立ってブンブンと握手を交わす選手は当たり前だけどとっても身長が高くて上を見上げる
「いやー!まさか本当に一緒に飲めるなんてめっちゃ嬉しいっす!」
両隣から二人の選手に囲まれてぺこりと頭を下げる
『いつも試合みてますっ‥!今日は宜しくお願いしますっ!』
「俺たちもいつも客席探してるよー!今日も応援きてくれたんだーって分かると嬉しいんだよねー!」
こうして蛍のチームの人達と取引先の人
先輩と5人の男性達に囲まれながら勧められるまま慣れないお酒を口にする
普段殆ど口にしないアルコールがあっという間に身体に回って
全身から力が抜けて頭がふわふわとしてくる
「顔も耳まで真っ赤でめっちゃ可愛いですね‥もしかしてお酒弱いですか?」
『ん‥おさけ‥ふわふわします‥』
くらりと力が抜けそうになる肩に先輩が手を回す
「すみません‥僕たちはここら辺で失礼しようか」
力の入らない私を何とか立たせると
そのまま腰にも手を回されてしっかりと支えられる
『せんぱい‥すみません‥』
「大丈夫‥ホテルでちょっと休めばよくなるさ」