第20章 月島蛍 この腕の中に閉じ込めて
ぽかぽかと暖かな布団の中
アラームの音が鳴り響いて重たい瞼を擦る
『‥‥わっ?!もうこんな時間‥っ?!仕事いかなきゃっ!』
慌てて起きあがろうとすると蛍の腕の中に閉じ込められていて身動きがとれなかった
『寝顔可愛い‥昨日の試合とっても活躍してたし疲れたんだろうな‥』
メガネを外してすやすやと眠る蛍の姿は少し幼くみえて可愛かった
『そういえば昔、試合の後に疲れすぎて寝そうになりながらジャージ2枚着ようとしてたこともあったな‥』
烏野にいたときの蛍を思い出して思わずふふっと笑ってしまう
起こさないようにゆっくりと腕の中から抜け出して
二人分の朝ごはんとお弁当を作ってメモを添える
温かい紅茶とサンドイッチを少し急ぎながら食べ終えて
私も会社に行くためにスーツに着替える
『いってくるね‥!』
二人で暮らし始めてから半年
高校生の時からお付き合いをしている私達も大人になった
幸せで
穏やかな毎日
なんだけど
蛍はたまにとっても怒る
高校生の時から何回も怒られた事はあったけど
昨日の夜も中々寝かせてもらえなかった
『お洋服‥気をつけなきゃ』
「おはよー!花澄ちゃん!今日の夜空いてるっ?」
『先輩おはようございます!今日の夜は空いてますけど‥どうしましたか?』
オフィスの席につくやいなや
営業部の先輩がぐいっと顔を近付けてくる
「あのさ!花澄ちゃんがよく見に行ってるバレーチームあるでしょ?取引先の人がそこのバレーチームの選手と知り合いでさ!」
『そうなんですか!』
「そうそう〜!それで本題なんだけどね、その選手の人達が花澄ちゃんとご飯行きたいって言ってるらしくて!どうかな?』
今日の夜は蛍も久しぶりに山口くんとご飯に行くって言ってたし
特に何も予定はない
それに知らない人についていったらダメって言われるけど
蛍のチームの人とご飯に行くだけならきっと大丈夫だよね?
『全然大丈夫です!でも‥なんで私なんかの事知ってるんでしょう‥?』
せっかく誘ってもらったのに断るのも申し訳なくて返事をするけれども
何で蛍のチームの人が私を知ってるんだろう?