第19章 月島蛍 分からせたい
月島side
一時間目が終わって休み時間
ここ数日の朝練の疲れもあって机に突っ伏していると山口の騒がしい声が聞こえてくる
「ツッキー!廊下っ!みてっ!」
「なに‥」
のそりと上体を起こして廊下の外を見ると学年の違う花澄さんがいた
「あれ‥噂の2年の先輩だよね‥めちゃくちゃかわいい‥」
周りがざわざわと騒がしくなって気付けば花澄さんの周りに人だかりが出来ていた
「えっ‥なにあの格好‥エロ‥」
数人の男子が呟いた言葉にこめかみがぴくりと反応する
エロい‥格好?
聞き捨てならない言葉が聞こえて廊下にでる
『あのっ‥ハンカチ落としましたよ!』
前屈みになってハンカチを拾う花澄さんのスカートは明らかにいつもよりも随分短くて中が見えそうだし
何より‥なんでニーハイ履いてんの?
短いスカートと
ニーハイソックスの隙間からみえる白くて少しむっちりとした太腿
「‥は?」
苛立ちが許容範囲を超えて
ずかずかと花澄さんに向かって歩き出す
「ツッキー‥落ち着いて‥!顔怖いよ!」
「山口はここで待ってて‥」
赤い顔してぼーっと突っ立ってる奴らを押し除けて
無防備すぎる彼女の前に立つ
「ちょっと‥なんて格好してるんですか‥」
『蛍くんっ!会えてよかった〜!』
「っ‥!」
怒りを伝えたいのに
こんなに可愛い顔して会えてよかったなんて言われたら無理だ
「え‥今蛍くんってよんだ‥?」
「バレー部のマネージャーだからだよな‥?まさか付き合って‥」
周りがさらにざわざわと騒ぎ出すから花澄さんの手首を引っ張ってひとけの少ない廊下の端まで連れて行く
『いきなりどうしたの‥?』
騒ぎの発端になった張本人が何も知らないような顔してきょとんと見上げてくる
「いきなりも何もないですよ‥大体なんで今日はそんな格好‥っ」
キーンコーンカーンコーン
説教を始めようとしたら予鈴のチャイムが鳴り響く
『これはお友達が歳下の彼氏が喜んでくれるんじゃないかって‥だから蛍くんに会いにきたんだよ!』
屈託なくにこりと笑う先輩