第18章 二口賢治 素直になれない
二口side
烏野との練習試合
いつものようにタオルを持って駆け寄ってくる
相変わらず今日も可愛すぎる
あれから順調に交際を続けてはいるけど
どうしてもやっぱり2人きり以外の時は素直になれなくて
相変わらず素っ気ない態度をとってしまう
素っ気ない態度をとりながらも花澄の事が気になってちらりと振り返ると
親しげに花澄に話しかける烏野の爽やかな副主将
なんでいちいちあんなに距離が近いんだよ‥
ズカズカと歩いて行って2人の間に割り入ると
青根も花澄を隠すようにして爽やかくんの前に立ちはだかる
俺を見上げる花澄の顔がほんのりと赤く染まっていて
苛立つ心
「俺以外に顔赤く染めんじゃねーよ‥」
聞こえないほどに捨て台詞をはいて
コートに戻っていく
そして練習試合が終わって
黄金川と談笑していた時だった
『えいっ!』
突然背中に感じる柔らかさに身体が硬直する
ズボンにつっこんだ両腕の隙間に花澄が腕を差し込んで
ギュッと俺に抱きつくようにして密着する
「ハァッ?!」
堪え切らずに一気に上がる体温
顔が真っ赤に染まっているのが自分でも分かる
「エっ?!エエッ?!花澄さんっ?!」
横にいた黄金川までも取り乱すように顔を真っ赤に染める
「な‥にしてんだっ」
両手を引き剥がして後ろを振り向くとキョトンとした顔で俺を見上げてくる
『コンセントっていう技らしいよっ!烏野で流行ってるって菅原さんが教えてくれたの!』
屈託ない笑顔でにっこりと微笑む花澄の背後に
してやったりと笑う爽やか副主将
「スガ‥またお前はそんなこと他校のマネージャーの女の子に吹き込んで‥」
「大地!でも花澄ちゃんのおかげで鉄壁の情緒が乱れて面白いとこがみれたべ?!」
ハッと振り返るとにんまりと笑う先輩達
「二口でもそーゆう顔するんだな」
「花澄ちゃん俺にもそれしてよー!」
『えっ?!いいですよ‥っ!』
ん!と両手を前にだす花澄を慌てて後ろに隠す
「くそっ‥あとで覚えとけよ‥」