第18章 二口賢治 素直になれない
二口side
ずっと片想いしてるやつがいる
俺の目線の先で
ぱたぱたと忙しなく走り回っているマネージャー
そこいらの芸能人より整った顔
学校中の人気者だ
「白鷺さん!こっちにもドリンクお願いします!」
『すぐ行きますー!』
茂庭さんに呼ばれてドリンクを持って駆け寄っていく
『はいっ!二口くんもどうぞ!』
こっちにも歩いてくるのが見えたのでそっぽ向いていると
ひょこっと俺の顔を覗き込む
「ん、サンキュ」
目を合わせないようにパッとドリンクを受け取ると
少ししゅんとした顔をした気がして胸がちくりと痛む
本当はそっけなくするつもりなんてないけど
面と向き合ってしまうと顔が赤くなりそうで
どーいう顔したらいいか分からなくなるから
ついこんな態度をとってしまう
「二口さんっ!もしかして髪切りましたっ?!」
花澄に手渡されたドリンクを飲んでいると
一年のリベロ
作並がやってきた
「切ってねーし!どこみてんだよっ!」
「ちょっ‥!うわっ‥二口さん!!髪ぐしゃぐしゃにしないでくださいっ!」
「いつも同じ髪型してるし、たまにはイメチェンって事でいーんじゃねーの?」
「二口っ!それくらいにしといてやれ!」
茂庭さんもやってきて
3人で騒いでいるとふと視線を感じて振り返る
『っ!あ‥青根くんもドリンクどうぞ!』
一瞬花澄と目があうけど
すぐに逸らされて青根と何やら話し出す
たまにふっと緩む表情
青根があんな表情になるのは花澄の前だけだ
「ほんと花澄さんって可愛いですよね‥他校の人からもよく声掛けられてますもんね」
「まぁあんだけ可愛いと目立つよな〜それにめちゃくちゃいい子だし!」
うんうんと頷く2人の視界から花澄を遮るようにして前に立つ
「そんな事より俺、最近また背伸びたんすよ」
「生意気なやつ」
「えー!二口さんまだ伸びるんですか?!」
3人でわいわいと言っているとやっぱり感じる視線
最近よく花澄に見られている気がするけど
これは自意識過剰なのか?