第17章 夜久衛輔 攻めの姿勢
夜久side
くしゃくしゃと柔らかな髪を撫でると嬉しそうにふにゃりと眉を下げる
『ほんと‥かっこよかった‥』
恥ずかしそうにほんのりと頬をピンクに染めながら
ふわりと笑う
「あー‥帰したくねー」
小声で呟くと
内緒話してるみたいに花澄が顔をよせてきて
『ふふっ‥わたしも』
なんて小さな声で言うもんだから
可愛すぎて思わず抱きしめる
俺の体格でもすっぽりと腕の中に収まる小さな身体
「マジで俺の彼女可愛い‥」
『あっ‥夜久君‥お母さんが‥』
もそもそと腕の中で慌て出すから顔を上げると
母親の車がやってきて目の前に止まった
「あらー!花澄ちゃんじゃない!」
『こんばんはっ!』
「今日は衛輔が心配かけちゃってごめんね!今日はお兄さんもう帰ってくるの?」
すっかり花澄の事を気に入った母親が俺のことなんかそっちのけで話し出す
『いえ!兄は今日も遅いと思います!』
「じゃあ良かったら今日うちに泊まっていかない?試合疲れたでしょ!唐揚げたっぷり作りすぎちゃったから食べにきてくれたら嬉しいわー!」
ようやく運転席から降りて来た母親と
花澄に支えられながら後部座席に座る
『私はとっても嬉しいんですけど‥ご迷惑じゃないでしょうか‥』
「迷惑なわけないじゃない!私がきてほしいのよー!」
『じゃあお言葉に甘えて‥お願いします!』
「そうと決まれば乗って〜!帰るわよー!」
母親に背中を押されて
少しはにかみながら嬉しそうに俺の横に座る
正直
今日の怪我で少しメンタルが弱ってたから
花澄がそばにいてくれんならすっげぇ嬉しい
『まだ一緒にいれるね‥』
にこっと笑いかけてくる破壊力抜群の笑顔に
俺の身体が反応して熱を持つ
手を伸ばして
小さな手をそっと握る
『っ!』
顔をパッと赤く染めて母親を気にするから
ジャージを俺たちの上にかける
「これで大丈夫?」
『ん‥うんっ‥』
ジャージの下で繋いだ手が熱を持つのが分かる
その後も顔を赤くしながら
母親の前で必死に平静を装おうとする花澄が可愛かった