第17章 夜久衛輔 攻めの姿勢
皆んながユニフォームを着替えている間に片付けを済ませて
着替え終えたみんなが出て来るのをそわそわと待つ
「そんなところで1人で立ってると、また他校の奴らにナンパされちゃうでしょうが」
『鉄朗‥っ!夜久君の様子大丈夫だった‥?』
最後は笑顔を見せていた夜久くんだったけど
やっぱり落ち込んで元気がないんじゃないかと心配だった
「そんなに必死になられると妬けちゃうね〜まぁやっくんなら大丈夫だと思うよ」
『そっか‥良かった‥ありがとう!』
「全国決まったら伝えようと思ってたんだけどさ‥」
いつものニヤリとした笑みが消えて
真剣な表情になる鉄朗
『うん‥?』
「やっくんに先を越されたから今まで言えなかったけどさ‥気持ちだけ伝えときたくて」
『うん』
珍しく言葉に詰まる鉄朗を見上げる
「‥ずっと前から好きだった」
『‥え?ごめんねもう一回‥』
コートから聞こえてくる歓声に鉄朗の声が掻き消されて
しっかりと聞き取れずに聞き返そうとすると
ドアがゆっくりと開いて
犬岡君と山本君に肩をかしてもらいながら夜久君がでてきた
「お待たせーって‥2人で何話してたんだ?」
『鉄朗がなにか言おうとしてくれてたんだけど‥』
夜久君と一緒に鉄朗を見上げると
さっきまでの真剣な表情が消えて
いつもと同じ顔に戻っていた
「またの機会にするわ」
『そうなの‥?また何かあればいつでも言ってね!』
「意外とロマンチストなんでね、2人っきりの時にもう一回リベンジさせてよ」
こそっと私の耳元で囁くと先頭をきって歩いて行ってしまった
「さー!今日はとりあえずゆっくり身体休めて!お疲れっした!」
監督とコーチからのお話を聞いて
解散となった皆が散り散りと帰っていく
「今日はありがとな!」
『私こそ‥ありがとう!夜久君のプレーは今日もとってもかっこよかったよ!怪我‥早く治るといいね』
怪我した夜久君のご家族が車で迎えに来てくれるまでの間
2人でベンチに座る
「花澄がいっつも俺の事支えてくれるからここまで来れたんだからな‥ほんとありがと」
くしゃくしゃっと頭を撫でられる