第16章 宮治 体育館倉庫 閉じ込め
治side
ベッドの上でもそもそと動く気配を感じて
ツムが起きたんやなってすぐ分かったけど
なんかどうしても花澄は俺のもんやってみせつけたくなってしもた
「‥俺が覗くって分かってたんか?」
花澄が帰った後
2人で夜ご飯食べとる時にツムが俺をじっと見る
「まぁな‥俺が逆の立場やっても‥きっと見たなるとおもたから」
「あーっ!!羨ましすぎてハゲそうー!」
立ち上がって大声を出すツム
「座って食べなご飯冷めるで」
「悔しいっ!その余裕腹立つ!!俺の方が絶対花澄の事好きやのになんでやねん!」
不満そうにブツブツ言いながらも座ってまたご飯を食べ始める
そんなツムよりも先にご飯を食べ終えて
ぼーっとテレビを見ながら花澄の顔を思い出す
誰もが振り返る程可愛い顔して
気取ることもなく
媚び売ることもなく
楽しい時は涙出るほど顔ふにゃふにゃにして笑って
悲しい時はおっきい目からポロポロ涙こぼして
付き合う前から表情が豊かで
ほんまに可愛い子やなぁと思っとったけど
付き合ってから初めて知る表情も全部可愛くて
毎日好きが増していく
俺にしか見せへん恥ずかしそうな顔とか
気持ちよさそうな顔とか
どうしようもなく無意識に俺を求めてくる顔とか
でも何より俺が好きなんは
俺の作ったおにぎりを幸せそうに頬張る顔
あの顔を見て
自分の将来進みたい道に自信がもてた
「ほんま‥腹立つけど、2人とも幸せそうな顔しとるわ」
ご飯を食べ終えたツムがまた隣にどかっと座る
「それでも俺は諦めんけどな!!俺は絶対に日本代表になるし!花澄の事も手に入れる!」
「俺かて絶対に花澄を手放す気ないから」
「ただいま〜ってあんたらまた喧嘩しとん?!懲りずに毎日毎日ようやるわ」
買い物から帰ってきたおかんが俺らを見て呆れたように笑う
「だってサムが俺に花澄との仲をみせつけてくるからしゃーないやん!」
「侑‥花澄ちゃんは治の事が大好きやねんて」
「そんなん認めへん!」
「治も大変やな‥まぁがんばりや」