第16章 宮治 体育館倉庫 閉じ込め
治side
暫くするとガチャガチャと南京錠を開ける音が聞こえて
ゆっくりと重たい扉が開く
「花澄!!どないしたっ?!気失ったんか?!寒さで?!」
扉が開いた途端
俺に抱かれて眠る花澄をみてツムが悲鳴をあげる
「‥寝とるだけや。大丈夫か2人とも」
泣きそうなツムの横から
いつも冷静な北さんが少し息を切らして俺の目を見る
焦って色々探してくれたんやなって思ったら心の奥がじんわりとあったかなる
「北さん有難うございます‥助かりました。花澄も俺も大丈夫です」
すやすやと眠る姿にそっと目をうつして
北さんがほっとため息を吐く
「侑から2人が帰ってこおへん言うて泣きながら電話かかってきてな‥まさかと思ってきてみて良かったわ」
「北さん?!俺泣いてなかったですよね?!てかなんでサムはそんな薄着なん?!顔も赤いし‥花澄も顔ほんのりピンクで寝とってもかわいいし‥」
シャツの上から俺のジャージを羽織らせている花澄を侑がじっと覗き込む
「えっち」
「はぁっ?!心配してみてただけやん?!俺がおかしいなーおもて北さんに電話したから助かったんやで?!もっと俺にも有難うがあってええんとちゃうっ?!」
最初から最後まで騒がしい侑に花澄がゆっくりと目を開ける
「ツムがうるさいから起きてもたやん‥でも有難うな」
確かに帰ってこーへん俺らを心配して
ここを探し当てた侑はすごいと思う
やっぱり双子って
こーゆうところあるんよな
「花澄‥大丈夫か?今日の倉庫の戸締りの生徒が急いどって中も確認せんと閉めたみたいやわ」
まだぼんやりとしとる花澄に北さんが俺らにはなかなか見せへんような優しい笑顔で話しかける
『‥北さん‥‥あれっ‥?侑‥?』
きょろきょろと周りを見渡して
ようやく状況を理解した花澄がガバッと起き上がる
『ありがとうございますっ!北さんが開けてくれたんですかっ?治も寝ちゃってごめんね‥もう降ろしてもらって大丈夫だよっ‥』
恥ずかしいんかほんのりと耳までピンクに染めて
こっそりと俺に話しかける
「ゆっくりおろすから気いつけや」