第16章 宮治 体育館倉庫 閉じ込め
部活終わり
帰ろうとして着替え終えると
備品を一つ倉庫にしまい忘れているのをみつけて
急いで体育倉庫に向かう
倉庫の重たい扉をなんとか開けて
奥にある棚に備品を置いて帰ろうとした時だった
カバンにつけていたぬいぐるみが
運悪く跳び箱にひっかかってチェーンが切れてしまい
取りにくそうな跳び箱の裏に落ちてしまった
たくさんの物がおいてある倉庫の中
私にはギリギリ超えられそうな程の跳び箱が2つ
『早くしなきゃっ‥治が待ってる‥』
跳び箱によじ登り手を伸ばすけれども下に落ちている人形には私の短い腕では到底届きそうもない
『んっ‥もう少し前にいけばっ‥』
上半身をさらに跳び箱から乗り出して手を伸ばした時
バランスを崩してそのまま前に落ちてしまいそうになった
『ひゃっ!‥‥あれ?!』
覚悟してギュッと目を瞑った時に
グイッと腰を持って抱き上げられる
「何してるんかおもたら落ちそうなってるし‥焦ったわ」
『治っ!助けてくれてありがとう‥!待たせちゃってごめんね?』
「全然待ってへんから大丈夫やで。それより‥大事な彼女が無事でよかったわ」
治の少し垂れた大きな目が優しく細められてドキッとする
「顔赤なった‥相変わらず可愛いなぁ」
私を抱きかかえたまま跳び箱の上に座ってじっと見つめられるからドキドキが止まらなくて顔を逸らしてしまう
『お‥重たいから‥』
「まだ離さへん‥それよりあんな必死に何とろうとしてたん?」
腕の中から出ようとするけれど体格のいい治にギュッと抱きしめられるから抜け出せそうになかった
『治にもらったぬいぐるみが壁と跳び箱の間に落ちちゃって‥』
「あんなんまたあげるやん。頼むから怪我だけはせんといてな?俺のせいで花澄が怪我したらっておもたら‥」
『怪我は気をつける!けど‥あれは治が初めてくれたプレゼントだから‥思い出が詰まってるから‥』
「‥そんな可愛い事いわれたら無理やん」
『んんっ‥だれかくるかもっ‥』
しょんぼりと下を向いた私の顔をそっと掴んで上を向かせると
優しいキスがふってくる
「きたらええねん‥じゃあ花澄は俺のもんやって見せつけたんのに」