第15章 照島遊児 奪いたい
照島side
『照島君っ‥だめっ‥!怪我しちゃうっ!』
人の心配なんてしてる場合じゃねー状況におかれてんのに
車の奥から俺を心配して大声を出す花澄
「俺が怪我しても‥花澄を守れんならどうでもいい‥っ!」
車の入り口に立っていた男を振り払って
花澄の上に馬乗りになっていた男に殴り掛かろうとすると
横から違う男に右頬を思いっきり殴られる
『照島君っ‥!やめてっ‥お願いだからっ‥照島君に怪我させないで‥』
大きな目からぽろぽろと涙をこぼしながら小さな声で訴えてくる
「照島君とやらが彼氏だったか?じゃあ怪我させない代わりに俺たちと気持ちいい遊びしてくれる?」
『っ‥あそび‥ますから‥』
花澄の胸に男の汚い腕が伸びる
「遊ぶって言葉を‥‥そんな汚い事に使うんじゃねぇっ!」
『照島君っ‥だめっ‥!』
渾身の力を振り絞ってそいつらに掴み掛かろうとした時に
パトカーの音が聞こえてくる
「ここかっ‥ちらっとみえた公園がここであってて‥良かった‥っ」
『さ‥澤村さんっ?!』
花澄がびっくりして声を出すから振り返ると
そこには烏野高校の澤村さんとやらが息をきらして立っていた
その後すぐに警察官がかけつけて
花澄を襲った3人組が連れていかれる
「怖かったよな‥すぐに助けられなくてごめん‥」
下着姿の花澄に烏野の黒いジャージを羽織らせて
チャックをしめる
『澤村さん‥っ‥心配かけてごめんなさい』
震える肩を抱くその手に嫉妬する
じんじんと殴られた頬が痛み出すけれども
目の前の2人姿をみて胸がズキズキと痛むから
殴られた痛みなんかどうでもよくなった
「とりあえず‥帰るか?」
駆けつけてきた誠実な彼氏に肩を抱かれて歩き出そうとする2人に手を伸ばす
とられたら
取り返すんだろうがっ‥
『ごめんなさいっ‥照島君の手当てをしてあげたいので‥いいですか‥?せっかく駆けつけてくれたのに‥ごめんなさい‥』
俺の手が2人に届く前に
花澄が声を振りしぼる
「え‥?ああ‥っ!本当だな!怪我に気付かなくてすまない」