第15章 照島遊児 奪いたい
揶揄われてるだけとは思えなかったけど
それはただの私の都合の良い解釈なのかもしれない
そう思ってから照島君を好きにならないように距離を取った
そして烏野高校との試合の後
主将の澤村さんと仲良くなって
お付き合いをしてほしいって言ってくれた
出会ってから日も浅かったし
澤村さんのことをよく知らなかったから何度かお断りしたけれど
それでも誠実に接してくれる姿が素敵だなって思った
そんな時に照島君が他に好きな人がいる事を聞いて
応援してほしいと言われて
澤村さんにはこんな理由で本当に申し訳ないけど
澤村さんなら忘れさせてくれるんじゃないかと思ってお付き合いをする事になった
それでも照島君は私の事を好きだと言ってくる
「さー!今日も遊ぶべ!」
バレーをしながら
楽しそうに遊ぶ姿に目を惹かれた
こんな事をやってみたらどうなるだろうって
考えるよりも先に体が動く照島君
自分にはないところに段々と惹かれていって
気付いたら好きになってたみたいだけど
応援してって言われたら‥
そんなの‥
諦めるしかないよね‥
涙で滲んで前がみえなくなるから
ゴシゴシとジャージの袖で涙を拭いて歩いていく
『もうここまできたら大丈夫かなっ‥』
照島君とわかれてから随分離れたところにある公園のベンチに座り込む
「泣いてんのっ?大丈夫?‥ってめちゃくちゃ可愛いじゃん?!」
下を向いていると突然声をかけられて
顔を上げると背の高い男の人3人が目の前に立っていた
「めちゃくちゃタイプ〜!俺たちが慰めてあげるからついておいでよ!」
『えっ‥ちょっと待ってくださいっ‥』
グイッと腕を引っ張られて立ち上がる
「まじかよっ‥巨乳‥」
「ラッキー‥」
明るく染めた金髪の髪
耳にはたくさんのピアス
照島君と変わらない風貌のはずなのに
なんだかとっても怖くて足がすくむ
「こんなに泣いてたら心配だからさ‥とりあえず俺たちの車そこにあるからおいでよ?」
『あのっ‥離してくださいっ‥』
がっちりと掴まれた腕はどんなに抵抗しても抜けそうにない
「そんなに怯えた顔しなくって大丈夫!」