第14章 木兎光太郎 エースの心得
『これ‥木兎さんのタオルだ!忘れ物見にきて良かった〜』
忘れ物を手に取って急いでみんなの元へ帰ろうとすると目の前に背の高い他校の男の人が立っていてぶつかりそうになる
『わぁっ!すみませんっ‥』
「梟谷のマネージャーさんっすよね?良かったら連絡先教えてもらえませんか?」
『あっ‥あのっ‥すみません‥急いでて‥』
「俺達の学校でもめっちゃ可愛いって有名なんですよ〜」
「彼氏とかいるんですか?」
そろそろストレッチも終わって帰る頃だろうし
早く帰らないと皆んなを待たせちゃうと思うけれども中々通してもらえない
『ほんとにごめんなさいっ‥私早く戻らないと‥』
ぺこりと頭を下げると下から顔を覗き込まれてビクッとする
「近くで見るとますます可愛いっすね!」
どうしよう‥
いつも助けてくれる先輩達も今はいないし
連絡先だけでも教えたら帰してもらえるのかな‥?
リュックの中から携帯電話を出そうと肩紐に手をかけた時にいつもの聞き慣れた声が聞こえてきた
「へいへいへーい!!俺の彼女に何の用ー?!」
「すみません‥そろそろ帰りますので‥うちのマネージャーを離してもらってもいいですか?」
『木兎さんっ‥赤葦君‥』
2人に駆け寄ると木兎さんが私をすっぽりと抱き締めて
その人達を威嚇するように睨みつける
「え?!木兎と付き合ってんの?!」
「まじかよ〜残念〜」
木兎さんと赤葦君のおかげでその人達はやっと帰って行ってくれた
『ごめんなさいっ‥お待たせしましたっ!』
2人に頭を下げると赤葦君がふっと優しく笑う
「いいよ‥白鷺さんが他の男の人に声を掛けられるのはいつもの事だし」
「俺の彼女だって書いて貼っとけばいいんじゃない?!どいつもこいつも人の彼女に手出そうとしてっ!」
ぷんすかと怒る木兎さんは結局体育館を出るまで私の手を握ったままだった
『あの〜‥木兎さん‥?もう誰もいませんよ‥?』
お家に着いて
いまだにぷんすかと怒っている木兎さんの膝の上に座らされたまま
後ろからギュッと抱き締められている
「だって俺から離れるとすぐに他の男にとられそうになるから‥もう絶対離さないっ!」