第14章 木兎光太郎 エースの心得
木兎side
「おい‥花澄ちゃんはどうした‥?」
スパイクがうまく決まらずに段々と気分が落ちてくる俺の周りでチームメイト達がこそこそと話し出す
今日はもう俺
トス上げてもらわない方がいいかもしれない
そう思いながらしょんぼりと赤葦の方へ歩いていく
「アカーシ!俺はもうダメかもしれ‥「木兎さん、あれ」
俺の話を遮るようにして客席の方を指差した
「ん‥?あれは‥‥花澄じゃん!」
俺が客席を見たのに気付いた様子で小さく手を振ってる
めちゃくちゃ可愛い俺の彼女
「仕方ねーなー!花澄にエースのかっこいいところみせてやんねぇとな!!」
さっきまでは何やっても上手くいかない気がしてたけど
今は逆に何をやっても上手く行く気がする
「なぁ〜花澄どこ行ってたんだよ〜?」
あの後にばっちり感覚を取り戻して快勝した俺達は
試合後のストレッチをしながら後片付けをしている花澄に話しかける
『隣でみていた人が急に貧血で倒れちゃったから救護室まで一緒について行ってたんです!』
「花澄ちゃんが見当んねーって木兎がうるさかったんだぜ!いつもの木兎しょぼくれモードに突入するしな!」
『そうだったんですか?!それは‥ごめんなさいっ』
木葉にわたわたと謝る花澄
「まぁでも白鷺さんが戻ってきた途端にばっちり取り戻しましたけどね」
『赤葦君のトスが良かったんだね!エースを支える赤葦君もとってもすごい事だと思うよ!』
ふにゃりと花澄が笑って見上げるから
赤葦が少し顔を赤くして目を逸らす
「もーー!可愛すぎるの禁止!!俺の花澄なんでしょっ?赤葦にまで可愛い顔しないで!」
俺の彼女はとにかく可愛すぎるくせに
その事に自分で気付いてないから困ったもんだ
「はいはい‥またでたよ」
周りで皆んながくすくすと笑うけどそんな事も気にしない
『今日の皆さんもかっこよかったです!お疲れ様でした!私は最後に忘れ物がないか確認してきますね!』
ほらまたそうやって
無邪気にかっこいいなんて言うから
他の奴らも皆んな頬を染める